第7章 お宝探しにご同行〜
「…そうか。」
シカクさんはそう言って、がしがしと後ろ頭を掻いて面倒そうにため息をついた。
「ま、お前は昔から頑固だしなぁ。言い出したら聞きやしねえ。」
「分かってるじゃないですか。」
くすくすと笑うと短いため息が返って来た。
「大人の言うことは聞いとくもんだぜ?」
「私にだって譲れないことの一つや二つありますって。」
「ったく…。その減らず口は相変わらずだな。」
「シカクさんこそ、変わらず元気そうで良かったですよ。」
「よく言うぜ。」
「本心なのに。」
心外だわ。
これでも薬草学を教えてくれた恩は忘れてないし、可愛がってもらってた自覚だってある。
シカクさんがもう一度面倒そうにため息をつくと、空気が変わる。
「エニシ…、死に急ぐんじゃねぇぞ。」
一瞬言われた意味が分からなかった。
死に急ぐって…?
「…私、自殺願望ないですよ?」
「そうは言ってねぇだろ?…はぁ、自覚がなきゃそれでいい。ほれ、行った行った。」
「どゆこと?」
意味が分かりません。
シカクさんはそれには答えずに、腰を下ろして上を見上げる。
「いいのか〜?上の二人は逃げたみたいだぜ?それにアスマだって、そろそろ起き上がってくるだろ。」
げっ。
そうだった、アスマさんの存在を忘れてた。
「んじゃ、私行きますから。」
まずいわ。
接近戦に持ち込まれたら一苦労よ。
あ、そうだ!
振り向いて「シカクさん」と呼びかけると、怠そうに頭を起こした。
「何だ。」
「長生きしてくださいね。」
シカクさんこそ、死に急いじゃダメですよ。
そう言ったら、案の定首を傾げた。
私は気にする事なく、全速力で球体を駆け上がり出入り口を目指す。
「さよなら〜!」
脱出する直前で、風の刃が無数に飛んできた。
起きて来たね。元気そうだわ。
「アスマさんも長生きしてね〜!」
「エニシ〜っ!!戻ってこいコラァ!!」
怒ってますなぁ。
こういうのは逃げるが勝ちよ、っと!