第7章 お宝探しにご同行〜
それはさておき、これで依頼達成かしら。
「これで卵取ったらどうなるかな?」
「仕掛けが消えるんじゃないか?」
「やってみてもいい?」
「あぁ。」
「私が離れてからにしてくださいね。」
鬼鮫さんはちゃっかりそう言って出口へと体を向けて立ち上がった。
「……?」
けど、その体が不自然に止まる。
「どうしたんですか?」と言おうとして、私の体も止まった。
止まったってより、動かせなかった。
誰かに体を拘束されてる感じ。
「イタチ…!」
私が目だけでイタチを向くと、動けなくなってるみたいでぎしりぎしりと音が鳴りそうに小刻みに震えている。
どうなってるの?
こうなったら、怪力技で…
そう思った矢先、何かが動いた。
それは鬼鮫さんの背後に現れて振りかぶっている。
その手にはメリケンサック型のナイフ!
まずい!!
「っ…!」
私は力技で拘束を解いて、鬼鮫さんを引っ張り、その反動を利用して相手の土手っ腹に蹴り込んだ。
「ぐっ…!」
やっぱりアスマさんだ!
一瞬だけ視線が合って、そして吹っ飛んだ。
ドゴン!!という結構な音がして、アスマさんは動かなくなる。
「いよぉ、エニシ。久しぶりだな。」
…なるほどね。
誰か分かっちゃった。
見上げれば、香炉のすぐ傍に人影が立っているのが見える。
「お久しぶりです、シカクさん。」
影縛りだったのか。
こりゃ、単に暴れるだけじゃ簡単に捕まるかもな。
「見違えたぜ。まさか俺の術を破るたぁな。」
「何言ってんですか。私だってもうガキじゃないんですから、成長だってしますよ。」
「奈良家自慢の術なんだがなぁ。うちはには敵わんか。」
「いんや、シカクさんの真骨頂は術じゃない。その明晰な頭脳です。分かってるくせにっ!」
私は言いながら、地面を蹴って真っ逆様に落ちる。重力も加わるから相当な力量になるね。
頭で勝てないならスピード重視よ!