第7章 お宝探しにご同行〜
仏像の背中の中腹あたりに、袈裟に隠れるように小さな石蓋があった。
イタチがそこへ卵を入れ込むと、光の交わる中心点にあった何かがくるくると回り始める。
丸い透明な球体みたいで、動いてもフォルムがほぼ変わらない。ここから見ると、水が動いてるみたいな感じ。
見ていたら、その球体から上と下へ光が伸びていく。
下は香炉の卵があった場所へ。
上は仏像の手の平へ。
…どういうことかと言うとね、この仏像って変わったポーズだったのよ。
まず、手が四本あるの。
二本は普通に手の平を前と人差し指と親指で輪っかを作るポーズ。
あとの二本は踊ってるようなポーズで、一つは手の平が上(この場合下か…?)を向いていて、もう一つは手の平が下(上…?)を向いている。
何やってる所なんだろう的な動きになってるの。
で、光はその踊ってるような方の手の平に当たっていて、それを見たイタチは仏像の背に足を付けて手の平を覗き込む。
「出たぞ。術式だ。」
「やはり、対になっていましたね。」
「…どういうことですか?」
何の話?
「鈍いですねぇ。つまりは、香炉とこれは仕掛けが繋がってるということです。おそらくはあの卵は仏像の心臓を模していて、復活を表現したかったのではないですか。」
あぁ、心臓をね。
なるほど。
「…あれ…?んじゃ、あの卵貰えないんじゃ…?」
「…卵なんて貰って何するんです?」
鬼鮫さんは途端に呆れ顔になった。
「いや〜、綺麗だから貰いたかったなぁ、なんて…。」
そう言ったら益々呆れが濃くなる。
「あなたも女だった、ということですかねぇ…。」
「それ、どういう意味ですか?」
私が女じゃなかったって言いたいのか。
ムッとすると、鬼鮫さんは肩をすくめる。
「女は時々理解できない物を欲しがるのでねぇ。このようにきらきらした物は特に。」
「ただのキラキラ物を欲しいんじゃありませんー。芸術品のように綺麗だから欲しいと思うんですー。」
カラスじゃないんだから。
キラキラしてりやいいってもんじゃないわよ。