第7章 お宝探しにご同行〜
「…如来十号、といったところか。」
うんうん考え込んでたら、イタチの声が聞こえてそちらを向いたら、私とは反対側にしゃがんで見上げている。
私もそっちに回って見てみると、脇腹の右腰辺りに”仏世尊”とあった。
「何これ?何て読むの?」
「”ぶっせそん”と読む。」
「へぇ…。何か意味があったりするのかな?」
「確か…、”煩悩を滅し、無明を断尽し、自ら悟り、他者を悟らせる者”だったか。」
……???
ナニソレ?
イタチは私をやれやれと見た後、口を開く。
「”煩悩を滅し”は、」
「欲望を滅する、的なやつだよね。」
それは分かる。
けど、その後が分からない。
「”無明を断尽し”は?」
「無明とは、無知ということ。仏の教えを知らぬことを指す。そして、全ての始まりにして世の迷いそのものを言うこともある。」
ふむふむ…。
「だんじん…って”断”と”尽”?」
「そうだ。」
「つまり、迷いを断ち尽くす?」
「俺はそう解釈した。見方が様々でな、全て読みきれていないから一方的な物の見方だ。」
「目を通しただけ偉いよ。私なんか見たこともないし。」
「俺も意味を覚えているのはこれだけだ。他は知らない。」
「では、”自ら悟り、他者を悟らせる者”とは、仏の道を切り開き、それを教え広める者、と言ったころですか。」
「え、鬼鮫さんも知ってるんですか?」
「知ってるわけないじゃないですか。話の流れでそう思っただけです。」
「あぁ…。」
ですよねー。
仏の道から外れまくってる鬼鮫さんが仏教知ってたら逆にびっくりだわ。
「察しの悪いことで…。」
ムッとして見上げると、やれやれと肩をすくめられた。
「失礼なこと考えてるから余計なことを言われるんですよ。」
むっかぁ〜…。
あっかんべーだ!
ちくしょう。
「くくっ。」
…笑われてるし。