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もう一度、を叶えるために。second

第3章 久方ぶりの里帰り1



だがゲンマも、最早見慣れた光景に異を唱えるつもりもない。
目的はカカシの後ろに隠れている女の子…に化けた何者かである。

「それより、後ろの子引き渡してくれよ。色々聞きたい事あるから。」

それを聞いたカカシは、何気なく女の子を振り返った。
すると、予想通り全力で拒否を示している。
面倒なことになった、とカカシは心の中でごちた。
ゲンマをどう誤魔化そうかと思案しながらも口を開く。

「…随分とまぁ、嫌われたもんだね。」

「うるせーなぁ。そんな悠長な事言って、変な奴を取り逃したらどうすんだよ?」

ごもっともな言葉に、これ以上の誤魔化しは無意味と悟る。

「いいよ、俺が見とくから。ゲンマは他の区域を当たって。」

面倒を嫌うカカシが、いつになく庇い立てする様子にゲンマは少し訝しげに彼を見る。
すると、カカシは言うつもりがないとばかりに目を逸らした。
それを見て、ゲンマは半眼で彼を見ながら大きなため息をつく。

「ったく。ちゃんと聞き出しとけよ?」

カカシは内心、ほっと息を吐き、あっさりと引いたゲンマの背中を見送る。

ゲンマは、後で根掘り葉掘り聞き出すつもりなのだろう。カカシは勿論言うつもりはないが。
だが、それも彼なりの優しさであることは理解していた。
カカシが抱え込む事がない様に、と。
もし、少しでも話すつもりがあるならば言い易い様に、と。

―悪いな、ゲンマ。

友の気遣いを少し嬉しく思いながら、心の中で声をかけた。

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