第7章 お宝探しにご同行〜
「エニシ。」
イタチから差し出された手を迷うことなく握った。
この手は離さない様にしなきゃ。
こんな所で一人逸れたら洒落にならん。
そうこうしてる内に、ゴゴーって音が混じり始めて、ドーム全体に影がボコボコ生えてくる。
ほんとに、モグラ叩きかって言いたくなるような飛び出し方なの。フォルムもよく似てるし。
暫く見ていると、最後の一つがぼこっと生えたところで、音も動きも止まる。
一体何が起こったんざましょ?
恐々全体を見回してからそっとイタチを見ると、まだ何やら目を光らせている。
「…何か分かった?」
「いや…、何も。」
イタチはこちらを見ることなく、辺りから目を離さない。
ぼこっと生えてきたあれらの最端は、ここから十メートルくらいってとこかな。
私はイタチの服をちょいと摘んでひっぱった。
「ねぇ、あれ見に行こうよ。」
「あれ…?って迫り出てきたあれを、か?」
「そうそう。」
じっとしてたって状況が変わるわけでもなし。
引き返すわけじゃないんだから、確かめに行った方が手がかりが見つかるよ、きっと。
イタチを見上げると、怪訝な顔をしている。
「軽はずみな行動じゃあないと思うんだけどな〜。」
「俺はそう思うが。」
「そうかなぁ?ものは試しってよく言うじゃん。」
だって、これ以上動く気配ないし。
「…お前の場合は石橋を叩いた方が丁度いいだろうな。」
「いや、案ずるより産むが易しだよ。」
イタチが言葉を詰まらせる。
平行線だって分かったのかもね。
はぁ、と小さく息を吐いた。
「シスイの苦労が目に浮かぶ…。」
「そんな事ないよ。たぶん…。」
うーん、そんな困らせた事ってなかった気がするんだけど…。
「…まあいい。思うように動いてみろ。」
へへっ。そうこなくっちゃ!
私はイタチから手を離すと、香炉に置いてあったランタンを持って最端へ近づいて行った。