第3章 久方ぶりの里帰り1
三代目であるヒルゼン様が亡くなって三日経った。
木の葉崩しで崩れた街の修復が始まっている。
大きな依頼は幾つか来てはいるものの、数日間は請け負うことはないだろう。
復興の最中である今、攻め入られでもしたらたまったものではないからだ。
主だった忍は、街中を巡回している。
カカシも例に漏れず巡回を任された為、お気に入りの本を片手に街をぶらぶらと歩いていた。
人々は皆、三代目を喪ったせいか、何処となく気落ちしながらも、崩れ荒れている所を皆で助け合って直している。
もう一度襲撃を受ければ、間違いなく心は折れるだろう。
だからこそ、カカシ達が見廻る必要がある。
三代目の最期のお顔はとても安らかだった。
最善を尽くしたからか。
それとも苦しまずに逝ったからなのか。
カカシは前者だと思う。
大蛇丸相手に出し惜しみはしていられないだろう。
簡単に制圧出来るとも思えない。
さぞ、一挙手一投足に気を抜けなかった事だろう。
改めて”里を守る”という重みを感じたのだ。
同時に思い出す。
自身は大蛇丸相手に動くことすらままならなかった事を。
三代目の足元にも及ばない。
それが酷く心許なかった。
もし、三代目の様な場面に出会したら…。
もし、背に守る者がいたならば…。
「俺も修行が必要かねぇ…。」
誰にも届かない独り言が風に乗って消えた。