第3章 久方ぶりの里帰り1
「で、今までどこにいたのよ?」
尋ねられた声に、そうだったと思い直した。
一難去ってまた一難だ。
この人から逃げ果せるのは至難の業かも…。
どうやって脱出しようか。
この人、やたらと気配に敏感なんだよね。
昔、悪戯した時は成功率0%という脅威の数字。
例の如く、マスクを外そうと色々と仕掛けたんですよ、えぇ。
カカシ先生の質問そっちのけで、うんうんと唸っていたら、更に質問が重ねられた。
「どこに行きたいの?」
意外な質問に一度カカシ先生を見上げた。
どこって言われてもなぁ。
ナルトか自来也様を探していたのであって。
そんな事そのまま言えるわけがない。
ついでに言えば、暢気にエロ本読んでるカカシ先生を見つけた時点で、まだ物語が動き出していない事が分かったから、もう用無しだ。(厳密には探さなきゃいけないんだけど)
イタチと先生が出会したら、間違いなく先生がばたんきゅーである。綱手様が戻るまで目が覚めないはずだ。
「あー…、いや…。特にこれといって行き先はないです…。」
しどろもどろに言うと、さっきの質問を返された。
「今までどこにいたの?」
「どこって…、銭湯の周りをぶらぶらと?」
結局、自来也様は見つけられなかったけど。
「ゲンマに目をつけられるほど、ぶらぶらと?」
改めて言われると、色々と墓穴掘った感が否めないな…。
「まぁ…、そうなりますね。」
私は気まずくなって、すっと目を逸らした。
すると、頭上からため息が一つ。
え、それ何のため息ですか?
私、怪しいんですか?
変化の術バレてないよね!?
「ま、とりあえず、里を案内するよ。」
そう言って歩き出したカカシ先生。
ほっ。
よかった〜、まだバレてはいないらしい。
「…お願いします。」
私は控えめに答えて、後をついていった。