第7章 お宝探しにご同行〜
あれから数日の猶予があり、只今イタチは絶賛治療中。
鬼鮫さんの鬼スケジュールのおかげで、その日の内に帰ってこれたから私の回復も早かった。
宿のお夕飯をたんまり食べ、水分をたっぷり取ってぐっすり寝たら完全復活だった。
わーい。
…一日中走らされたのには納得いかないけど。
ま、それはともかくも。
早くに治療に取り掛かれるのはありがたい。
「…食道周辺と胃はとりあえず良さそうだけど、どう?」
イタチは体に手を当てながら感触を確かめながら、少し首を傾げた。
「…そうだな。胃は軽くなった…かな。」
「チャクラが回復すればもう少し違ってくると思う。今は分かりづらいかもね。」
消化器系がほぼ全滅だったからあんまり実感ないのかも。
「今日で五日目か。まだまだかかりそうだな。」
イタチはのそりと起き上がる。
当たり前だけど、怠そうね。
「病の場合はどうしてもね。根気よくやってかなきゃならないから。」
「怪我はあっという間に治るのに、病だと違うのか?」
「私も初めは疑問だった。折角治したのに再発した、なんてザラでさ。これっていう説はないんだけど、経験則から言って形状記憶みたいな働きが鍵なんだと思う。」
「形状記憶…?」
聞いたことが無い言葉なのかな。
前世だけの言葉なのかも。
「うん、そう。怪我はさ、元々の形が崩れた状態だから、それが元に戻ろうと体が頑張ってくれるの。」
「体が覚えている形に戻る、か。」
「ま、そんな感じ。」
厳密には金属の性質のことだった気がするけど、便宜上はイエス。
「だけど、病は崩れた形が当たり前になってて、その時間が長ければ長いほど異常な形が当たり前になってくる。だから怪我ほど簡単には体が治ろうとはしてくれない。」
「成程な。だから時間がかかるのか。」
「あくまで持論だけどね。」
だからこそ、体を叩き起こす様な作業が必要になるってわけだ。
「根気のいる作業だな。」
イタチは苦笑する。
「そうだよ。本人の治そうっていう気概にも左右されるんだから。頑張ってね、患者さん。」
揶揄うと、イタチからふっと柔らかな笑みが溢れた。
「そうだな、お医者さん。」
「私の方は、まかせんしゃい!」
私の気概はバッチリよ!