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もう一度、を叶えるために。second

第7章 2-3





あれから数日の猶予があり、只今イタチは絶賛治療中。

鬼鮫さんの鬼スケジュールのおかげで、その日の内に帰ってこれたから私の回復も早かった。
宿のお夕飯をたんまり食べ、水分をたっぷり取ってぐっすり寝たら完全復活だった。
わーい。
…一日中走らされたのには納得いかないけど。

ま、それはともかくも。
早くに治療に取り掛かれるのはありがたい。

「…食道周辺と胃はとりあえず良さそうだけど、どう?」

イタチは体に手を当てながら感触を確かめながら、少し首を傾げた。

「…そうだな。胃は軽くなった…かな。」

「チャクラが回復すればもう少し違ってくると思う。今は分かりづらいかもね。」

消化器系がほぼ全滅だったからあんまり実感ないのかも。

「今日で五日目か。まだまだかかりそうだな。」

イタチはのそりと起き上がる。
当たり前だけど、怠そうね。

「病の場合はどうしてもね。根気よくやってかなきゃならないから。」

「怪我はあっという間に治るのに、病だと違うのか?」

「私も初めは疑問だった。折角治したのに再発した、なんてザラでさ。これっていう説はないんだけど、経験則から言って形状記憶みたいな働きが鍵なんだと思う。」

「形状記憶…?」

聞いたことが無い言葉なのかな。
前世だけの言葉なのかも。

「うん、そう。怪我はさ、元々の形が崩れた状態だから、それが元に戻ろうと体が頑張ってくれるの。」

「体が覚えている形に戻る、か。」

「ま、そんな感じ。」

厳密には金属の性質のことだった気がするけど、便宜上はイエス。

「だけど、病は崩れた形が当たり前になってて、その時間が長ければ長いほど異常な形が当たり前になってくる。だから怪我ほど簡単には体が治ろうとはしてくれない。」

「成程な。だから時間がかかるのか。」

「あくまで持論だけどね。」

だからこそ、体を叩き起こす様な作業が必要になるってわけだ。

「根気のいる作業だな。」

イタチは苦笑する。

「そうだよ。本人の治そうっていう気概にも左右されるんだから。頑張ってね、患者さん。」

揶揄うと、イタチからふっと柔らかな笑みが溢れた。

「そうだな、お医者さん。」

「私の方は、まかせんしゃい!」

私の気概はバッチリよ!

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