第6章 逃がさないんだから…!
「エニシ!!止めろ!!」
彼女はイタチに気づいて一瞬で顔を強張らせた。
まだ心が凍りきっていないその様子にイタチは少しだけ安堵する。
だが、そうもしてもいられない。
相手はあのサソリだ。簡単には引いてくれないだろう。
助けに入ろうと駆け出すと、エニシは突然気を失ったかの様にその場に崩れ落ちた。
「今だ!!」
デイダラが叫び、エニシ目掛けて爆弾を投げた。
「……!!」
イタチはそれ目掛けてクナイを投げる。
一本目は爆弾の進路を止め、二本目で軌道が逸れた。
「うわっ!」
爆弾はデイダラの思いもよらぬ方向へと飛び、彼の進行を止める。
「何のつもりだ!イタチ!!」
デイダラは怒鳴るが、イタチは一切を構うことなく真っ直ぐにエニシの元へと駆けていく。
「止まれ。」
だが、サソリに止められてしまった。
傍には気を失ったままのエニシがカラクリで吊り上げられ、毒の滴る刃先を首元に向けられている。
イタチは冷静に人形の性能を見極め、影分身を出すとサソリに飛びかかった。