第6章 逃がさないんだから…!
ドカン!!!
洞窟全体を揺るがす爆音が響き渡る。
爆弾でも爆発したかのような音だ。
武器庫でもあるのだろうか、とイタチは思いながら、爆心地に足を向けた。
ーエニシ…。
洞窟の至る所で死体が転がっている。
切り傷のものもあるが、大半が岩から削り出したような杭。それらが致命傷を確実に捉えていた。
そして、エニシの得意とする忍術は土遁だった。
『ちょこまかと逃げるんじゃねぇ!!』
―この声は…。
聞き覚えのある声にイタチはスピードを落とす。
その間にも、カシャンカシャンとカラクリの様な音も聞こえてくる。
―まさか…!
イタチは音の聞こえる方向に急ぐと、少し広めの部屋でサソリの人形とデイダラを相手に戦うエニシがいた。
人形から繰り出される予測不能な攻撃を一つも受けることなく避け、躱し、刃先を叩き割ることもあった。
一口に刃先を叩き割ると言っても毒の滴る刃先である。そう易々とはいかない。
だが、エニシはいとも容易い動きでそれを可能にしていた。
加えて、デイダラからの滅多矢鱈の爆弾攻撃にも顔色ひとつ変えず一つ一つを岩で包み去なしている。
動きには何ら問題ない。
最後に会った日より格段に戦闘力が上がっている。
だが、ぞっとする程に無表情だった。
彼女の為人を知っているからこそ、それがどれ程の異様さなのかがよく分かる。
あのままにしてはいけない、とイタチは本能的に思う。
あの目は飲み込まれた者の目だと。
憎しみに染まった憎悪の万華鏡。
―止めなければ…!