第6章 逃がさないんだから…!
「サソリの旦那、今回はオイラの番だよな。…うん。」
デイダラは楽しそうに隣を歩く相方に言う。
「勝手にしろ。」
淡々と答えるサソリだが、どこかつまらなそうにも見える。
対照的な二人は明かりの灯った岩穴へと入っていった。
「見張もいないぞ。」
入った時から感じる異様な雰囲気は、二人の肌をピリピリと刺す。
「なぁ、旦那。話し声がしねぇか?」
デイダラは耳を澄ます。
だが、この音は話し声というよりは…。
「…悲鳴の間違いだろ。」
サソリの言う通り、か細い悲鳴のようなものが断続的に反響してくる。
「チッ…。誰か居やがんな。」
デイダラは途端に不機嫌となる。
悲鳴が聞こえるということは、先客がいるということ。
折角の芸術が存分にお披露目できないということだ。
だが、対照的にサソリはニィっと笑う。
「いいじゃねぇか。いいモノだったら俺のコレクションにすれば。」
「…それ、旦那にしかメリットねぇじゃねぇか。」
デイダラはがっくりと肩を落とす。
「何にせよ依頼はきっちり片付けるぞ。」
サソリはカラクリの巻物を一つ出す。
「わーってるよ、…うん。」
デイダラも面倒そうに粘土を練り始めた。