第6章 逃がさないんだから…!
※残酷描写があります。
苦手な方はスキップしてください。
「驚く事ないじゃない。」
その声に弾かれた様に正面を向くと、目の前に女が立っている。
「うわあぁぁぁぁぁ!!!」
男は弾かれた様に逃げ出すが、急な激痛が走り転んでしまう。
その箇所を振り返るとふくらはぎに深々と鉄パイプが突き刺さっていた。
男は恐怖に駆られつつもなんとか立ちあがろうと踠く。
だが、それより先に女に背を踏みつけられて地面へと沈んでしまった。
「ねぇ、さっきのまだ持ってるんでしょ?」
そう言うと、ガッと横腹を蹴られてしまう。
声にならない痛みに、男は悶絶するよりない。
身を強張らせる男の身包みを、女は容赦なく剥がしていく。
「これね。」
言いながら、流れる様な動作で注射器を男の頸に突き刺し、薬液を一気に入れていく。
「ぐぁっ……!」
「良かったねぇ。これであなたも”最高の気分を味わえる”よ。」
「……!!」
赤い瞳が弧を描いて嗤うその様は、悪鬼を彷彿とさせる。
男はあっという間に恐慌状態となった。
「た、たすけてくれ…。」
全身を震わせ、呼吸もままならなくなっていく。
「たのむ…。おれが、おれが、わるかった…。」
必死の命乞いにも、女の様子は変わらない。
それどころか、今度は二本同時に打ち込んだ。
「ぁがぁ……!」
痙攣は益々酷くなり、呼吸は浅く速くなっていく。
瞳は宙を彷徨い始め、定まらなくなっていく。
「……っ、……っ!た…けて…!」
「いやよ。あんただって助けなかったじゃない。」
「わる…かった…!お、れが…、わる、かった…!」
女は男の足に岩の枷を取り付け、一瞬で天井に吊し上げる。
「次はあなたの番よ。」
そう言って、残りの一本を心臓に向けて打ち込んだ。