第6章 逃がさないんだから…!
「お前が余計なことをしやがったせいで俺の計画は台無しだ。」
意味が分かりません…。
「俺がこの戦争を止めて立役者として手柄を立てれば、次の長の座は俺の元に転がり込んだのに!お前が余計な物を見つけたせいであの役立たずが表に立っちまったんだよ!!」
役立たずって…リニさんの事?
あー、秘術を持つ方が地位が高くなるのか。
まぁそれもそうかも。
「あいつに出来て俺に出来ないことなんて無いんだ!だから俺にも秘術会得をさせろ!」
男は嗤う。
「まぁ、これからは俺の命令には従わざるを得なくなるがな。お前に打ったそのクスリはなぁ、効果が切れた時に酷い痛みと幻覚が出てくる。だが心配するな。もう一度打てばまた楽になる。何度でも最高の気分を味わえるぞ。」
ぜんっぜん安心できないわ。
あーあ、予想通りのクズだった。
まぁでも、これで私も心置きなく”クズ”になれる。
私は目をつぶって切り変えた写輪眼を隠す。
そして、あの日の事を記憶の片隅から引っ張り出した。
兄ちゃんとの最期の別れ。
これが一番のトリガーになる。
悲しみ。
絶望。
憎悪。
特に憎悪を増幅させると、より早く”癖”を引き出すことが出来る。
私は遠のく意識をそのままに、流れに身を任せた。