第6章 逃がさないんだから…!
「お二人とも。」
リニさんの声が下から聞こえて、私達は足元を見る。
座れる面積が狭いから、すぐ下がもう崖なのだ。
「食事の用意をしました。一緒にどうですか?」
それを聞いて私達は顔を見合わせる。
どうしようかな。
鬼鮫さんからの忠告もあるし。
「ぜひおいでください。」
わぉ、満面の笑みだわ。
断りずらいなぁ。
「行くか?」
イタチの問いに、うん、と答える。
「ちょっとだけ顔出してくる。」
しゃーないね。
どうも厚意は無碍にできないんだわ。
「ならば、俺も行こう。」
「助かる。一人だけだと居づらいからさ。」
二人して立ち上がり、そこから一気に飛び降りて着地する。
リニさんは少しだけ目を瞠り、それから少し困った様に笑った。
「やっぱり忍には敵わないですね。」
まぁ、普通はこんな降り方しないよね。
「ははは…。まぁ、昔から鍛えてますから。」
私も頬を掻きながら苦笑で返す。
こればっかりは生まれ持った才能と環境だからね。
そしたらリニさんは私を見て、あぁ、と手を振った。
「そう意味じゃないんです。純粋な尊敬なんです。まぁ、それはさておき、行きましょうか。」
私達は岩々の間を抜けて、来た道を戻った。