第6章 逃がさないんだから…!
暫く、イタチ達の軍事会議を聞いてたんだけど、はたから見てるだけだとちんぷんかんぷんなんだよね。
自分がその作戦の一部だったら、もう少し覚えよう理解しようって意気込みがあるんだけど、いかせん無関係。
てなわけで、私もお散歩に出る事にした。
辺りは既に夕闇に包まれていて星々が綺麗な光を放っている。
「きれー…。」
砂漠に似た環境だからか空がすっきりとしてよく見える。
大小の岩を幾つか登っては降りを繰り返して周りの景色を楽しんでいた。
「ここがいいかも…。」
一際大きい岩山からは景色が一望できる。
不思議な光景だった。
岩々が波の様に連なり、リニさん達がいる家が灯りのついた船みたいだ。
大海原にぽつねんと佇む一隻の船。
他に人の気配がないから、ちょっと寂しい気もする。
私は反対側を向いた。
そっちには国境になる前線がある。
…どんな気持ちだったんだろうな。
もう後がないって自爆を選んだのってさ。
走馬灯が過ぎったりしたんだろうか。
家族や友達の顔とか、大切な思い出とか。
「♪ーー上を向いてーー」
空を見上げてたりしたんだろうか…。
「♪ーー幸せは雲の上にーー」
天国ってこの世界にもあるのかなぁ。
「♪ーー思い出す、春の日ーー」
せめて清々しく逝けたならいいな。
あれしたかった、これしたかった…って思いながらなんて、しんどいし苦しい。
私は想いを馳せながら暫く歌い続けた。