第6章 逃がさないんだから…!
「口は災の元、と覚えておくといいですよ。」
ほぅ、セーフ。元の顔に戻ったわ。
冗談って難しいね。
「まぁ、それはさておき。鬼鮫さんには秘術なんて必要ないと思いますよ。」
だから、手に入らなかったからってそんなに悔しがらなくてもいいと思うの。
「だって、そんなもの無くたって鬼鮫さんは十分強いじゃないですか。」
単純に腕っぷしも強いし。
あんな大刀振り回せるくらいだしね。
それにチャクラも豊富。
あの刀ってチャクラ吸うんでしょ?それで何事もなくピンピンしてるのってだだもんじゃないじゃん。
「どんなに強力な秘術だって、数個の術の組み合わせには敵わない事だってあるじゃないですか。それに最後にモノをいうのは単純な力比べだったりしますし。」
だってチャクラ切れたら、あとは肉弾戦よ?
その時軟弱だったら即終わりなわけよ。
「弱い人が持つから切り札なんであって、強い人が持ってもそれは手段の一つに過ぎなくなる。だから鬼鮫さんが持ってもきっと宝の持ち腐れになりますよ。」
そう言ったら、少し驚いた様な意外そうな瞳が返ってきた。
「…阿呆だとばかり思っていたら、…意外でしたね。」
「…鬼鮫さんも人のこと言えないくらい口悪いですよね。」
失礼だよマジで。
静かに笑ってるけど、笑い事じゃないからね、鬼鮫さん。
私がジト目で見上げるも、意に介した様子もない。
「代わりにいいことを教えてあげましょう。」
鬼鮫さんは、すっと立ち上がる。
「…お出かけですか?」
今からどこ行くの?
「居てもやる事もないのでね。…ここにいる間は差し出された物を口にしない方が身のためですよ。」
「…ん?」
出された食事を口にしたらまずいって事?
…やだよ、そんな呆れた目で見ないで。
「あなたは疑うことを知らないのですか?」
「そんな事ないと思いますけど…。」
人並みには警戒してると思う。…たぶん。
「とにかく、警告しましたからね。」
鬼鮫さんはそう言うと、ふらっと出て行った。
まぁ、ともかく。
警戒はいつも以上にしておくことにしよう。