第6章 逃がさないんだから…!
―すまない…。サスケ…。
イタチの瞳から一筋の涙が流れ落ちる。
“…大丈夫、私がいるわ…”
声なき声と共に自身を包み込む白い腕。
不思議と不気味さはなく、寧ろ暖かく懐かしい。
イタチは不思議に思って見上げると、真っ白な羽を広げた女性がいた。
金の柔らかな髪をゆっくりと靡かせ、優しい笑みを湛えた女性。
「…天、使…?」
“…あなたを一人にはさせない…”
不思議と自身の中に響く声が、心を軽くする。
ふと、その姿がエニシと重なり、焦燥感が湧き上がる。
「あなたは…一体…。」
“…忘れないで。あなたは一人じゃないわ…”
その声と共に、視界がぼやけていく。
ーイタチ…
聞き馴染みのある声に引っ張られる様に、イタチの意識は混濁していった。