第6章 逃がさないんだから…!
「他人の夢を見て、あんなに泣けるものですかね。」
「いやいや。すっごく感情とか情景とか感覚とかリアルだったんですって。」
「やっぱり変な人ですね。」
奇異なものを見る様な目は、頭がおかしいと思ってる事がありありと分かる。
「はいはい。言うと思いましたよ。」
まぁ、本人である私もちょびっとだけそう思ってるから否定はしない。
しないが、言われたくなかったのである。
特にイタチには。
ちらっと彼を見上げると、僅かに苦笑してぽんぽんと頭を撫でられた。
さすが、分かってらっしゃる。
が、鬼鮫さんは、あんまり腑に落ちないご様子。
「鬼鮫さんも巻物に入ってみたらいいじゃないですか。」
私は巻物をちらっと見やってから鬼鮫さんを見る。
百聞は一見にしかず、って言うじゃん?
すると、彼は怪訝な顔つきで私を見返してきた。
「何故私が入らなければいけないんでしょうねぇ?」
「見たほうが早いですって。口では上手く説明できないんですよ。」
「それを説明するのが忍業なんですがねぇ。」
鬼鮫さんの嫌味にのらりくらりと返す私。
「それを言われちゃうとねぇ。でも今回に限ってはデータ集めた方がいいと思いますよ?」
秘術なんて未知の領域だし。
「…聞き齧りで申し訳ないが、聞いたことがあるんだが…。」
長さんがおずおずと話し出した。
「秘術を受け継ぐ時には通らなければならない関門があると。」
「関門?」
さっきの罠のこと?
「あぁ。その者の最も辛い過去を見せるらしい。」
え、どういう事?
「過去?」
イタチも怪訝そうに聞き直してから私を見て、私もイタチを見返した。