第6章 逃がさないんだから…!
「…白紙?」
するすると捲っていたイタチは不審そうにぽつりと呟く。
「何も書いてないですね。」
見ていた鬼鮫さんも言う。
秘術の巻物が白紙ってどういう事?
私だけ背が低いから(?)見えないんだよね。
「私にも見せて。」
イタチに頼むと、すっと巻物を下げてくれた。
見たら本当に白紙だった。
「…んん?」
どいうこと?
あれか?
何かの薬液につけると文字が浮き出てくる的なパターンとか?
さわさと紙を撫でてみるけど、そういった仕掛けがある様な感じじゃない。
ふつーのさらさらーな紙だ。
じゃあれか?
チャクラで文字が書かれてて、また写輪眼に切り替えると見えるとか?
試しに写輪眼で見てみるけど、やっぱりふつーの紙。
じゃその上は?と思ってぐっと力を入れて万華鏡に変えてみるも同じ結果に。
「目が痛くなるだけだった…。」
私は、しょぼしょぼする目を両手で擦った。
すると、イタチの手が優しく私の片目に当てられた。
「…お前、もしかして万華鏡を上手く使えないのか?」
「ううん、そういうわけじゃないと思う。元々痛みとか感覚が敏感らしくて。大丈夫、ちょっと痛いなって思っただけだよ。」
心配されるってなんだかくすぐったい。
なんだろ。
綱手様やシズネさんに心配されるのとはまた違った感じ。
「…顔が緩んでますよ。」
はっ…!
あれ、変な顔してた?してないよね!?
鼻の下が伸びてる的なのじゃないよね?
いやいやいや、伸ばすも何もないと思うんだけど…。
見上げると、鬼鮫さんは私を見てため息をつく。
「あなたは知られたくないのか知られたいのか、どちらなんでしょうねぇ。」
何がですか!?
何をですか!?
コレなんか一言でも口を開くと自爆するパターンじゃない!?