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もう一度、を叶えるために。second

第6章 逃がさないんだから…!



すると、チャクラが少し吸われる様な感覚があり、次いでぼぅっと光が強くなった。

「これがそうですか。」

鬼鮫さんが面白そうに呟いたのを聞いて、可視化されたのが分かった。

「消えていきますね。」

光始めた方陣は、外側から導火線を辿る様にじりじりと姿を消していった。
やがて中心部の最後まで辿り着くと、火が燃え尽きた様に光も消えてしまう。
と思ったら、ガコンと中心部が突然窪んで、釣られるようにその周りの石もなだらかに窪んでいった。
謎の溝はこの仕掛けのせいだったのね。

イタチは、中心部に現れた桐箱を手に取ると、その場で蓋を開けて中を見る。

「巻物?」

「そうらしいな。」

イタチの側に寄って私も一緒に覗いてみたら、みっちりと埋まる巻物がどでんと鎮座していた。
青紫色を基調とした七宝柄の表紙で、アクセントの銀と白が綺麗だった。
紐は真紅の飾り紐で結われていて、見目の良さは抜群だ。

「題名は何で書いてあるの?」

すっごい崩した行書みたいな書体で、私が見ても全くのちんぷんかんぷん。

「俺も全て読める訳じゃないが、”秘術”と”禁書”なら読み取れる。」

イタチの指を追うと…なるほど。
そうと読めなくはない。
ないけど、言われなきゃ分かんないレベルで読めない。

「…どこで習ったの?こんな書体。」

何で読めるのよ?って聞いてみたいよね。

「里の図書館にあったぞ?」

そんな当たり前の様に言ってるけど、何でそんなものを手に取ろうと思えるのかしら?
そして覚えられるのかしら?

「…ねぇ、前から聞いてみたかったんだけどさ。まさか図書館の本、全部読破してるとか言わないよね?」

まさかねぇ。
何でも知ってるとは言え、そんなこと出来る筈は…。

「まぁ、全ては読破できなかったが…。」

だよねー。
ほっとしたわ。

「あと少しで一通りは目を通せただろうな。」

な、なんだって…?
私を見て、何を思ったのかイタチは少し苦笑する。

「あと少し時間があったらって話だ。」

いや、そこじゃない。
そこじゃないから!

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