第6章 逃がさないんだから…!
話を聞いていた人、聞きつけた人がぞろぞろと狭い書庫に集まって来た。
案内されて中に入ったイタチは、不意に私を見る。
「何処にあるんだ?」
あれ、違う気配みたいな不思議な感じしないのかな?
「何か感じる?」
聞いてみたら、イタチは首を横に振った。
「これといった異変は感じない。」
んん?
じゃ、この気配が分かるのは私だけなの?
私は首を捻りつつ、ちょっとした驚きに包まれた。
いやだって、何でも出来るイタチに出来ないことがあった的な衝撃なんだもの。
いや、今そんな事はいいや。
「えっとね、こっちだよ。」
そこからは私が誘導することにした。
本棚が狭しと並ぶ中で、部屋の中央だけが何も置かれていない。
一見すると自然に空いてる様に見えるんだけど、写輪眼にはバッチリ方陣が見えている。
薄青色の光の円形で構成されたモノ。
円の中は楕円形みたいな菱形が均等に描かれていて、所々に文字も書かれている。
何かのキーになるんだろうな、とは思うんだけど、いかせん私の頭じゃ何を意味するのか解読不能だ。
残っている本もあったにはあったけど、解術方法までは載っていなかったのさ。
「ここだよ。」
私が指さす方を目で追いながらも、イタチの目は流れる様に写輪眼に切り替わった。
「…ふむ。」
イタチは方陣の周りをぐるぐると回りながら、方陣の図柄や文字の隅々にまで目を走らせる。
「これが鍵だろう。」
そう言って立ち止まり、足元を見る。
「ここに印の文字が三つある。そっちにもあるだろう。」
そう言って、イタチは対角線上に当たる反対側を指差した。
ちょうどそこに居た私は、その箇所を覗き込む。
「…どこ?」
「十二支の内の何れかの文字がある筈だが。」
「全く分からん。」
即答したら、やれやれと言わんばかりにため息をつかれた。
ごめんって。
マジで分かんないんだってば。