第6章 逃がさないんだから…!
そこへ、一人駆け寄る影が見えた。
「長!帰ったのですか!ご無事で何よりです!」
「あれ。アルビノさん、駆け降りてきたんですか?早いですね。」
エニシはそう言って、今しがた飛び降りた窓を見上げる。
二階建ての家の窓ほど高さはあるだろうか。
だが、褒められた男は得意気になるどころか、憤怒の様子を見せる。
「だから、俺はアルビノじゃありません!」
「え、そこ?っていうか、白い髪に赤い目ってアルビノの特徴じゃないですか。あ、そういえば日光大丈夫ですか?色素がないから火傷するって聞いたことあるんですけど。」
「それは偏見です!見た目で決めないでもらいたい!それに俺はリニです!アルビノなんて名前じゃありません!」
「え、アルビノじゃないんですか?珍しい見た目ですねぇ。」
エニシは興味深げに、リニをしげしげと眺める。
「失礼な人ですね!それに注目すべきはそこではない!」
リニは、ずずいと近寄るエニシにたじろぎながらも怒鳴り返す。
「お前、それよりも脚は何ともないのか…?」
長が困惑しながら、そっと聞いた。
リニは戦争により脚を負傷し、命は取り留めたものの不自由となってしまった。半年経って漸く日常を取り戻したばかりだった。
リニは長から言われて初めて気付いた様に目を見開いた。
「脚…?脚が…。何故?」
リニは恐る恐る患っていた脚をゆっくりと動かす。
「な、治ってる…!?」
「今更かーい。」
エニシはからからと笑う。
「いつ気付くかなぁって思ってたのに、普通にスルーするんだもん。」
彼女はそう言って苦笑した。
「もしかして…あなたが…?」
リニがそろそろと視線を彼女に向けると、エニシは得意気に胸を張った。
「はい。私、こう見えても医療忍者ですから。」
「ただの医者だと言っといた方がいいんじゃないですかね?」
鬼鮫が横目でエニシを見遣りながら訂正を促すと、彼女は不服そうに鬼鮫を見上げる。