第6章 逃がさないんだから…!
……。
「…もしかしたら、失われた秘術の巻物があるかもしれません。」
「失われた秘術?」
え、何そのワクワクするネーミング!
「はい。…そもそもの話、私達にはチャクラを結晶化させる力があって、その力でチャクラ石を生み出すことができるのです。」
「もしかして、報酬として用意された物ですか?」
「そうです。」
まじで?
それが本当なら凄い能力だよね。
しかもどっさりあったし、純度もいいって言ってなかった?
「ですが、それを生み出す事ができるのは一生で一度きりです。何故なら、自分の心臓を媒介にするから…。」
「え゛。じゃああの石って…。」
「…えぇ。仲間の物です…。」
…絶句なんですけど…。
あのごろごろあった一つ一つが心臓ってこと…?
そう言われてみると、形が心臓だったかも…。
「怪我を負ったり戦場で助からないと悟った仲間がその選択をしました。」
うーん…、ただ死んでいくよりはマシなんだろうけど…。
「それにしたって…。」
他の選択肢がなかったんだろうか。
「みすみす死に至った俺達が理解出来ない、といったところですか。」
アルビノさんは私の顔を見て自嘲した様な笑みを浮かべた。
私はふぃっと目を逸らした。
だって、失礼だと思うけど、ただの犬死って言えない?
ここの人達にはそれしかないって思っての事だってことは分かるけど、只々死ぬだけなんて、あんまりだ。
「この術は、結晶化させる時に大きな爆発を起こすんですよ。それは個々の実力不足を補う武器になる。」
「爆発…?」
え、自爆?
自爆すんの?
「それによって敵の一人でも道連れに出来れば御の字なんですよ。」
そう言って、また仄暗い瞳を浮かべる。
あー…、そういうことか。
アルビノさんには死ぬ覚悟が出来てるんだ。
死を身近に背負っているから…。