第6章 逃がさないんだから…!
ガチャガチャと鍵を開けてもらって中に入る。
窓は一切なくて、明かりは数本ぶら下がっている電球のみ。
すっごく埃くさくて薄らカビ臭い。
これ、本を置く環境じゃない気がする。
もったいないよ。
私が顔を顰めながら鼻を摘んでいると、アルビノさんは少しムッとした。
「ご覧のとおり手入れもできてない有様です。ここを見ても面白いものなんてないと思いますよ。」
言いたいことは分かるよ?
分かるんだけど…。
「とりあえず、換気してもいいですか?」
私は返事を待たずに部屋の端に行くと、壁であるゴツゴツとした岩肌に手を当てた。
で、チャクラをある程度流してから、岩に意識を重ねる。
すると、ごりごりっという音と共に岩壁が消えて、視界に外の景色が飛び込んできた。
「ちょっ…!何するんですか!?」
びゅぉーっと外の風が勢いよく吹き込んで、澱んだ空気を押し流していく。
はぁ〜すっきり〜。
「いや、換気したくて。」
「だからって…!仮にも俺達の我が家ですよ!?」
顔を青褪めさせて、ぽっかり空いた大きな穴と私を見比べる様子はちょっと面白くもある。
「でも、折角の本なんだから。秘術とやらの書物もあるんだし。本は大切にした方がいいと思いますよ?」
うちは一族みたいに、一子相伝の様な事しててぜんっぜん独学が出来ないより、書物残してくれる方がありがたいもの。
「ですが!こんなでかでかと穴を広げたら侵入してきてくれと言っている様なものじゃないですか!!」
「大丈夫ですって。すぐ塞げますから。」
私は両手を広げて端の岩に触れると、窓を閉める様に、ごりごりっと岩を埋めて元に戻して見せた。
ねっ?と言って振り向くと、唖然とした顔でこちらを見ていた。