第6章 逃がさないんだから…!
イタチ達を玄関で見送った後、岩の集合住宅の屋上へ駆け上がった。
周辺の地形確認は基本中の基本だって兄ちゃんが言ってたっけ。
任務に出て拠点に着くと、必ず地形確認をさせられたものよ。
見渡す限りの岩、岩、岩…。
改めて見ると、奇襲はかけやすい地形だなって思う。
同じような大小の岩山が多数ある。
それだけ隠れ蓑が多いってことだ。
「…人影もないし、とりあえずは異常なしってことで。」
念の為に、影分身を出してその場を後にした。
あっちへ。
こっちへ。
そっちへ…。
岩の集合住宅の中は、なんていうか…アリの巣を彷彿とさせる造りなのよね。
整然と並んでなくて、思いつきで気まぐれに穴を掘って部屋にしてる感じ。
…ヤバい、目印がなくて迷子になりそう。
ドアがない部屋が多いなぁって思う。
生活感が出てて、どんな人が住んでるのかが何となく分かっちゃう。
フリーダムだなぁとは思うんだけど、一人部屋がないって辛くないのかな?
余計なお世話か。
ドアがついている部屋も少しだけだけどあった。
けど、やっぱり鍵がかかってなくてフリーダム。
…私が拘り過ぎだね。
本人達がいいならいいのよ。
仲良き事は美しきかな、ってね。
うん、そうよ。
「あれ…?」
一つだけ他とは何かが違う部屋に差し掛かった。
ガチャガチャとノブを回してみても開かない。
「何だろう…?」
不思議な気配がする。
人の気配とは違う異質なもの。
上手く言えないんだけど、凄く惹かれる気配。
中を見て見たい。
「誰かいないかな…。」