第6章 逃がさないんだから…!
「…ここまでが現状だ。何か質問はあるか?」
全部の説明が終わったみたい。
でも意外だな。
戦況は依頼者の方が劣勢だったんだ。
だったらなりふり構わなくなるから、依頼内容が”生死問わず”になっても不思議じゃない。
っていうか、この戦争の原因ってそもそも何なんだろう。
「敵の狙いは何だ?」
お!イタチ、いい質問だねぇ。
狙いが分かれば原因が見えてくるかも。
けど、この質問に依頼者達は顔を曇らせた。
「…おそらくは俺達の全滅だ。」
え…、何それ。
全滅ってどういうこと?
「奴らは俺達の能力を脅威に思っているらしい。危険な芽は摘んでおきたいんだろうさ。」
「その能力とは?」
「……。」
鬼鮫さんが質問すると、長は無言で答えた。
「それはこの依頼に関係のない事だ。他に質問はあるか?可能ならば今すぐにでも戦場に出てもらいたい。この瞬間にも境界線で仲間が戦っているんだ。」
今すぐにか。
随分と急かすね。
「…いいだろう。だが、先に報酬を見せてもらおうか。」
イタチが言うと、長は仲間に合図を送った。
指示を受けた人は、隠し扉みたいな所から黒い麻袋を取り出した。
悠に一抱えはあるんじゃないかな。
それを丸テーブルの上に、どん!と置いた。
「チャクラ石だ。純度はいいから換金すればそれなりの値になるだろう。」
イタチはそれを聞き、袋を引き寄せると中を確認する。
何て言うか…、形が独特。
ラグビーボールみたいな球体なんだけど歪だ。棘っぽいのも幾つかあるし。
しかもみんな同じ形に同じ大きさ。
色は青が混じった様な黒だ。
「…そのようだな。この依頼引き受ける。」
かくして、依頼は成立。