第6章 逃がさないんだから…!
岩と砂しかない景色。
着いた先は、とっても辺鄙な所だった。
天然の岩肌を削り住んでいるみたいで、外から見ると歪な三階建てのビルの様だ。
その一番上から見下ろす男が数人。
敵意とも見下しとも違う、暗く鋭い視線。
まるで死んだ様な目、と言う方がしっくりくる。
一階から女の人が出て来た。
にこりともせず、ぼんやりした様な昏い目をした若い人だ。
「お待ちしていました。長が部屋で待っています。」
その人は少し会釈をし、手で中へと促しながら歩き出す。
イタチと鬼鮫さんは、その後を黙って着いていく。
「来ないんですか?」
立ち止まったままの私に気づいて、鬼鮫さんが声をかけてくれた。
私、思えば部外者なんだよね。
このまま着いていけば依頼の詳しい打ち合わせとかやるかもしれないし。
けど、あの死んだ様な目がどうにも気になる。
何がそこまで彼らを追い詰めるのか。
「置いていきますよ?」
…うーん…!
いいや、ついていっちゃえ!
案内された部屋に入ると、さっきこっちを見下ろしていた男達がいた。
数えてみると、全部で五人。
みんながみんな同じ目をしている。
その中の中心にいる人物が口を開いた。
多分、この人が長なんだろうな。
「…よく来てくれた、というべきだろうか。見ての通り歓待出来るほどの余力もなくてな…。」
「挨拶は要らない。手短に内容と状況を説明しろ。」
イタチ冷たいわ〜。
「そうか、俺達もその方が有難い。まずは依頼内容だが…。」
本当にそのまま説明が始まった。
自己紹介も何もなんにも無い。
余計なお世話だけど、歓迎ムードも何も無いってどうよ。
仮にも助っ人だよね?
信頼構築とか…大丈夫なの…?
きょろきょろと視線を動かしてみるも、それに異を唱える者はない。
…まぁ、気にしてないならいっか。