第6章 逃がさないんだから…!
木から木へと飛び移る影が三つ。
勿論、それは私とイタチと鬼鮫さんだ。
たまに下を通りかかる人からは、すげぇ、と感嘆の声が漏れる。
それだけ走る速度が速いって事なんだろうね。分かります。
「あとどれくらいなんですか?」
「この調子なら一日もあれば着けるでしょうね。」
前世だったら、超人的な身体能力です。
この星の規模を知らないからよくわかんないけど、体感的に自動車の時速で言えば40km/hは出ていそう。
そしてそれについて行ける自分、すげぇ…。
小さい頃から頑張ってきた甲斐があった。
まぁ、それはともかくも…。
よかったぁぁ。
追求を無事逃げ切りました。
問い詰められても困るんだわ。切実に。
“阻止”を”阻止”されたら泣くよ?
イタチの治療の目的は、”その後”を生きてもらう事。
だから何が何でも知られるわけにはいかないの。
あれから、話は任務の事に切り替わり、あれよあれよと言う間にすぐ出発する事になった。
場所は風の国に入ってすぐの所らしい。
国境を越えた辺りからは木々が少なくなって、木から木への移動は困難になる。
「ここで一度休憩にしよう。」
イタチの一言で、やっと休憩になった。
ぶっ続けで走ると、さすがに疲れちゃうよね。
あっつー。
パタパタと手扇で扇いでいると、隣にイタチが並ぶ。
こうして並び合うと、凄く時間の流れを感じた。
背、伸びたなぁって。
里を出る前は私が少し見下ろすくらいだったのに、今は見上げてる。
「水筒は要るか?」
そう言って差し出されたのは竹筒。
レトロだわ。
「ありがと。」
飲み物を何も持っていなかった私はありがたく頂戴する。
一口口に含むと、意外にも飲みやすい冷たさだ。