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もう一度、を叶えるために。second

第6章 逃がさないんだから…!





「…お前、どこまで知ってるんだ?」

思った以上に冷たい声が出たな、とイタチは頭の隅で思う。

『イタチが潰すか木の葉が潰すか。ただその違いです。』

それは里の上層部しか知らない機密事項だ。
それを知っているという事は、即ち反逆者になり得る可能性を秘めていると言える。
同族だからこそ尚の事、どう感じどう動くのか、それが手に取る様に分かるのだ。
彼女の矛先は、決して里に向けさせてはならない。

「どこまでって…、何が…?」

イタチと視線がかち合った途端に、エニシは目を泳がせる。
それは、何か含むところがあると告白しているも同然だった。

「お前は父母を俺に殺された。前々から知っていたとはいえ、それを恨まないなどまずあり得ない事。あれには理由がある、とお前は考えているわけだ。」

エニシに問うと、彼女は分かりやすく目を逸らした。
若干呆れはするものの、今はそれがありがたい。
不毛な駆け引きの必要がないからだ。

「俺の病を治す真意は何だ。」

治癒とは別の目的があるから自分に近づいた。
その事実に若干の苛立ちを感じながらも、それを表に出す事なく、イタチは冷静にエニシの目的を探る。

「え…。いや、その…。」

エニシは困惑した様子で、口籠もり、考え込んでしまう。

「言わないつもりか?」

殺気にも似た怒りを声に滲ませると、エニシは益々困った様に視線を泳がせる。
その様が一層疑惑を引き立てた。

「里に…一矢報いたいか?」

この返答如何では、イタチはエニシにも警戒しなければならなくなる。
だが、彼の予想に反して、エニシは初めて思い至ったかの様な困惑と驚きを露わにした。

「はあ?」

「思わないのか?一族を蔑ろにした木の葉を潰したいと。」

イタチですら、ふとした瞬間に魔が囁く事がある。
だったら、感情豊かなエニシは尚の事、頭をよぎるのではないだろうか。
そう思ったのだが…。

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