第6章 逃がさないんだから…!
「人はさ、変わっていくものだよ。」
「…え…?」
イタチの視線が戻ってきた。
「時間と共に色んな事を、色んな環境を知れば、考え方だって自ずと変わっていくと思う。」
私が言うと、イタチは少し苦い顔をしてまた視線を落とす。
「私はさ、一族が滅んだのは運命だと思ってる。どうしようもない道だったの。」
誰にも止められない出来事だった。
私が気づいたのも遅かったし。
原因の一つであるカカシ先生の友達を見つける事だって出来なかった。今も何処にいるのか知らないし。
そもそも、大勢の考え方を変えるのは膨大な時間と根気が必要だと思う。
うちは一族も木の葉の人もなんて、どんだけいるの?って感じじゃん?
「あなたは一族を、家族を殺されて何とも思わないと言うのですか?」
鬼鮫さんが怪訝そうに聞いてきた。
そんなに疑わしい?
まぁ、普通は疑わしいか。
うーん…。
「何とも思わないとまでは言いませんけど、一族がやがてこういう未来を迎えそうだなって事は薄々気づいてたから、ショックはあまり無いってだけです。」
元々、物語として知っていた事だったしね。
分かってるけど、一族の為に何かしたかった。
免れる運命であるなら避けて通りたかった。
悪あがきみたいなものだ。
「それでも、あなたは他ならぬイタチさんによって一族を奪われたのではないのですか?」
うーん、やけに食いついてくるな。
「仮にイタチが一族を全滅させなかったら、木の葉が潰してたと思いますよ。イタチが潰すか木の葉が潰すか、ただその違いです。なのにイタチだけを恨めましょうか?致し方なしと捉えるのが、私は自然かと思うのですが。」
「へぇ。」
それきり鬼鮫さんの質問が止まる。
納得してくれたのかな。
「…お前、どこまで知ってるんだ?」
え?
どう言う事?
イタチの冷たい声に驚いてそっちを見たら、探る様な目つきで見られていた。
「どこまでって…、何が…?」
待って。
私、何かやらかした?