第6章 逃がさないんだから…!
次の日。
私は朝、お隣のイタチと鬼鮫さんの部屋を訪ねる。
コンコン、とノックすると少ししてイタチが出迎えてくれた。
「おっはよー。チャクラの戻りはどんな感じ?」
今日のイタチは昨日と比べて顔色が明るい。
調子はいいみたいね。
「大分いいな。もしかして昨日の兵糧丸か?」
「そだよ。私もアレ効果抜群なの。」
もしかしたらと思ったんだ。
キビモチは、多分うちは一族には打ってつけの食材なのね。
「キビモチがね、チャクラ回復にいいのよ。前にそれを発見して以来、私の作る兵糧丸のベースはキビモチなんだ。」
にっと笑うと、イタチも笑顔を返してくれた。
「成程、キビモチか。覚えておく。」
「うん、あんまり出回らない食材だから見かけた時には確保しとくといいよ。」
そう返すと、イタチは頷いた。
「さて、じゃあ、やりますか。」
「あぁ、頼む。」
「任されました!」
私はイタチに通されて、部屋へ上がった。
布団に横になってもらった状態で、イタチの喉元から食道全体を診る。
かなり大きな瘤が三箇所。
ここから取り掛かった方がいいかな。
中が液体っぽいから、傷付いたら吐血するかも。
早いとこ片さないと。
「この治療でチャクラを半分くらいは使うと思う。空になるまでやると動けなくなるかもだから、完治は期待しないで。」
「分かった。」
イタチの答えに頷き返してから、チャクラを流し始めた。
瘤に集中的にチャクラを集めて、体に排除を促す。
私のチャクラはイタチの体内からすれば異物。
攻撃対象になる。
「……!」
イタチの表情が少し強張る。
多分苦しいのかも。
「キツイかもだけど、少し我慢してて。」
「大丈夫だ。」
しゃんとした答えが返ってきた事に少しほっとした。
私は、ちらっとイタチを見た後、また視線を戻す。
時間をかけて少しずつ少しずつ瘤を小さくしていく。
三ヶ所同時にやってるから、気を使うんだよね。
なんで一箇所ずつやらないかって?
転移性のものだったら嫌だから。
それに同時に治癒した方が吐血のリスクも下がるしね。
体感的には二時間くらいかな。
最初に比べたら、大分小さく出来たと思う。
その時、プツリとチャクラが切れた。
あちゃー。気が抜けて集中力が切れたみたい。