第6章 逃がさないんだから…!
イタチはそれを聞いて、渋い顔で鬼鮫さんを見遣る。
「…お前は俺の相方なんじゃなかったのか?」
「先程、エニシさんとは提携を結びましたからね。あなたにとって利になるのであれば私は反対はしませんよ。」
意地悪そうに笑う鬼鮫さんは、ビジュアルは怖いけど私にしたら天の助けだった。
やっぱり落とすなら周りからよね。
「…嬉しそうだな、エニシ。」
恨めしそうにじとっと見るイタチ。
「そりゃね。それに大方の治療さえ終われば、四六時中引っ付いてる事もないと思うし。私がイヤってんなら距離は保つよ?」
私が言うと、何故はイタチが目を瞠った。
そして、バツが悪そうに目を逸らす。
「…いや、その…。お前が、嫌なわけじゃない…。」
「はい?」
え、あんだけ拒否っといて、”私が嫌なわけじゃない”…?
えぇ〜…。
これ突っ込んで聞いていいの?
答えてくれなそうだけど。
「…そうだな。お前の言いたい事は何となく分かるが…。聞かないでくれ。」
…そうだろうと思ったよ。
ため息ついていいですか?
嫌そうな顔をしていたはずなんだけど、何が面白かったのか、イタチは突然吹き出した。
「本当にお前は…。昔から声に出さなくても会話が成立するよな。」
そう言って、ぽんぽんと頭を撫でられた。
ちくしょー。
私の方が年上なんだけど。
「ふんだ。どうせ顔に出やすいタチですよーだ。」
嬉しくなんかないんだからね。