第3章 勝者と敗者
ーー貴方side
翌日の早朝、私は青学メンバーと共に食堂に来ていた。そこはビュフェ形式で好きな物を好きなだけ食べて構わないという。
不二「まるで高級ホテルだね」
菊丸「ひゃっほーい!」
跡部「てめえら、遠足気分ならさっさと帰りな」
跡部さんにピシャリと言われ海堂先輩が少しキレ掛けていたが桃城先輩が落ち着かせる。
河村「まあ確かに最新の設備に豪華な食事、温泉まであるし楽しめそうだよね」
桃城「そうっすね!」
手塚「……」
改めてこの合宿を楽しもうと言う河村先輩に続き、桃城先輩達は朝食を取り始めるが手塚部長は外で走っている高校生達を見て険しい顔をしていた。
花鈴「部長」
手塚「……すまない、どうした」
花鈴「あ、いえ……あの……」
外で走る高校生は息を上げながら走っている。私は一通りの練習メニューをコーチ達から知らされており、どれだけこの合宿が過酷なのか既に把握していた。だがその事を伝えるのは禁止されている為何も言えなかった。
手塚「大丈夫だ、それよりも朝食にしよう。お前の好きな甘い物もある」
花鈴「……はい!」
察してくれた手塚部長は切り替えてお皿を手渡してきた。リョーマ君や桃城先輩達も料理を取り終えたのか席に着いて食べ始めていた。
花鈴「えっと席は……」
跡部「お前は此処に座れ」
花鈴「あ、はい……では失礼します」
席を探していると跡部さんに声を掛けられ、断る理由もないので座らせて貰う事にした。取ってきた料理を口に運ぼうとすると跡部さんに「元気だったか?」と聞かれ元気だと応えた。
跡部「全国以降、あまり会っていなかったからな」
花鈴「確かに。あ、今日からは暫く一緒に過ごせますね!」
跡部「……そうだな」
花鈴「?」
何故か目を逸らして紅茶を口に運ぶ跡部さん。私はどうしたのだろうと思いながら朝食を食べるのだった。
朝食を食べ終わた頃、シャッフルマッチが貼り出されているという事で見に行く事になっていたが私はコーチに呼ばれているからと食堂で別れた。
コンコン
花鈴「失礼します」
黒部「ああ、来ましたか。では早速見ていきましょうか」
そうしてモニターの一つに映し出されたのは桃城先輩と5番コート所属の鬼先輩の姿だった。試合は始まったばかりのようだったが、既に桃城先輩は押されている。
黒部「君はこれを見てどう思いますか?」