第5章 マネージャー
徳川とのラリーも終わりそれぞれ練習と仕事に戻ろうと施設中央に向かって歩いていると目の前から入江がやって来た。
入江「あれ、珍しい組み合わせだね」
花鈴「入江先輩おはようございます」
入江「おはよう、確か姫宮さんだっけ。2人で練習?」
入江の質問に練習ではなくラリーと応えた花鈴は近くに建っていた時計をチラリと見ると「先に失礼します」と言って駆けだした花鈴は一度立ち止まって徳川に声を掛ける。
花鈴「あ、試合楽しみにしてますねー!」
徳川「……ああ」
入江「前見て走らないと転んじゃうよ」
花鈴「はーい、では失礼します!」
そう言うと今度こそ走りだした花鈴に徳川は小さく応えると入江は「楽しそうだね」とくすりと笑った。
入江「彼女って確かプロにも劣らないって子だよね?」
徳川「ああ」
入江「ふーん、僕も試合見てみたいな」
2人は走っていく花鈴の背中を見ながらそう話していた。
モニタールームへ行くと黒部が1人で画面を見ていた。今日は5手塚達の練習を見ようと思っていた花鈴だったが、黒部は今すぐに山に向かえと指示をだした。
花鈴「山ですか」
黒部「ええ、今から行けばお昼前には着くでしょう」
花鈴「山に何があるんですか?」
黒部「行けば分かる事です」
1枚の地図を渡され「遅くならないように」と言われたかと思えば部屋から出されてしまった花鈴、すると丁度良いタイミングで齋藤がやって来た。
齋藤「おや花鈴ちゃん、これから山に登るんだよね」
花鈴「ご存知なんですね」
齋藤「勿論。あ、ちょっと紙を見せてくれるかい?」
言われた通りに渡すと紙に何かを書き込み「これでよし」と言うと紙を返した。返された紙を見ると最短で行けるルートが丁寧に書き込まれていた。
齋藤「この通りに行けば早く着くよ」
花鈴「良いんですか、教えて貰って」
齋藤「別にダメとは言われてないしね」
花鈴「ありがとうございます!」
お礼を言い出掛ける支度をする為に走りだした花鈴を見送るとモニタールームへと入る齋藤。黒部は「甘いですね」と小さく息を吐く。
黒部「彼女に最短ルートを教えましたね」
齋藤「あはは、でも安全とは言ってないよ」
黒部「では、お手並み拝見と行きましょうか」
モニターの1つにリュックを背負った花鈴の姿が映し出されていた。