第5章 マネージャー
花鈴「私の事、知ってるんですか」
徳川「ああ、試合でも無敗……相当な努力をしていたんだろ」
この合宿のメニュー以上に過酷なトレーニングをしてたのではと聞かれた花鈴は困った顔をしながら自分の過去を少しだけ話した。
花鈴「まあ、父がプロのテニスプレイヤーだったのでプロに向けて幼い頃から練習ばかりでしたね」
徳川「……何故、マネージャーになった」
花鈴「……言っても怒りませんか?」
頷いた徳川に花鈴は自分がテニスをする事で辞めていったプレイヤーが居たからと話した。
花鈴「私のせいで辞めちゃったり大会を放棄した子がいたんです。それで中学ではテニスはしないって、もう辞めようって思ったんですけど……好きだったから」
完全に辞める事は出来ず、テニス部マネージャーとして陰ながら支えようと決めた、と花鈴は小さく笑いながら話した。
花鈴「ごめんなさい、こんな話してしまって」
徳川「いや、こちらこそ悪かったな。お前の事は知っていたんだ、一方的だかな」
花鈴「そ、そうなんですね」
徳川はベンチから立ち上がり「試合は後日」と言い、今は軽くラリーに付き合えと誘われた花鈴。「勿論!」と言って暫く2人で打ち合うのであった。
齋藤「ふーん、強すぎてマネージャーに転職ね。本気の彼女の実力はどんなものだろうね」
黒部「それは近い内に分かりますよ。恐らく、彼等と互角レベル……或いは」
モニターを見ながら2人のコーチは花鈴と徳川のラリーを眺めるのだった。