第3章 芽生え始めた想い
空き部屋につくと、ヒナさんはごろんとベットの上へと転がされる。
けっこう雑に落とされたのに、ヒナさんは起きることなく、なんなら気持ちよさそうな寝息をたてていた。
その姿をみたスモーカーさんは深いため息を吐く。
「ったく、酒癖悪いくせに飲むんだからな…。こっちの身にもなってほしいんもんだぜ」
「あはは…」
これに関しては苦笑いしかこぼせない。
酔い覚ましの水を置いて、私たちはそのまま部屋を出た。
自分達の部屋に戻るまで間、2人で夜の廊下を歩いていた。
窓から差し込む月の光がやけにまぶしく見える。
ここまで何も考えずついてきてしまったアンナだったが、スモーカーと2人きりだということを意識した瞬間、どきんどきんと急に動悸が早くなった。
(………?)
胸を締め付けられる痛みが走ったり、今日はやけに心臓が忙しい日だな。
そんなことを考えていると、隣にいるスモーカーさんが口を開いた。
「……なんだかいつもと雰囲気違うな」
「えっ」
「ああそうか、髪を下ろしてるからか。…なんだか新鮮だ」
そう呟いたスモーカーさんの目は酔っているからか普段とは違う熱のこもったもので、思わずアンナの胸はどきんと高鳴る。
「っ……ヒナさんだって、いつも髪を下ろしてるじゃないですか、」
恥ずかしくなってしまい、ついヒナさんの名前を挙げてしまったがすぐに後悔した。
自分よりヒナさんのほうが綺麗だってわかってるのに…
1人で傷ついていると、スモーカーさんが言った。
「あいつに関しちゃ、出会ったころからああだからな。今更新鮮さもくそもねェよ」
「そういうもんですか……」
「あァ」