第3章 芽生え始めた想い
「変だよね、私。自分でも分かってるんだけど…」
そう言いながらアンナは視線を落とす。
たしぎからなんて言われるか、少し怖かったからだ。
「アンナ、それって____」
たしぎが口を開いた瞬間、
ドンドン!と部屋の扉を叩く音共に
「わりィ、まだ起きてるか?」
ここにはいないはずの彼の声が扉の向こう側から聞こえた。
今夜2回目の珍しい来客者だ。
「す、スモーカーさん…?」
おそるおそる開けてみると、そこにはヒナさんを右腕を肩に組んだスモーカーさんの姿が。
アンナは驚いて思わず息をのむ。
「ど、どうしたんですか!?」
「たしかお前が空部屋の鍵の管理してたよな?
この酔っ払いをそこにぶち込みたくてな、」
心底だるそうな彼の右側を見れば、彼女がぐでんぐでんの泥酔状態であることが一目で分かった。
この基地には海兵たちが住むための部屋がいくつかあり、いま現在誰も使っていない空部屋があった。
使ってないとはいえ、たまには空気の入れ替えだったり掃除をしたりするため、アンナがまとめて部屋の鍵を管理しているのである。
それを求め自分の部屋に来てくれたらしい。
「あ、はい!私が持ってます、」
「なら鍵貸してくれ。あとはなんとかする」
スモーカーは組んでいない右手の方をアンナに差し出した。
「いや、私も部屋まで行きますよ!ちょっと待っててください、いま鍵とってきます」
そういって部屋の奥の金庫から部屋の鍵1つ取り出したアンナは上着を羽織り、ソファに座っているたしぎにひと声かけた。
「ごめんたしぎ、ちょっと私行ってくる!もしあれだったら、先に部屋に戻ってても大丈夫だから!」
「あ、うん!わかった!」
行きましょう。とスモーカーさんに一声をかけた後アンナたちは部屋を後にした。