• テキストサイズ

【ONE PIECE】想いは風にのってどこまでも

第2章 初めての異動




そわそわしながらしばらく待っていると、がちゃりという音と共に両手にマグカップを持ったスモーカーさんが部屋に戻ってきた。


「あ、ありがとうございます……」

「元々は、俺が押し付けた仕事だからな」

「い、いや、そんなことは……」

「お前な……言葉と表情が全然違ってるぞ?」

「え」


スモーカーの言葉にぎくりとするアンナを見て、彼はふっと小さく笑った。


「まァいい。正直なことはいいことだ」

「すっ、すいません……」


おずおずと差し出されたマグカップを受け取って、そのままカップに口をつけコーヒーをすする。

するとコーヒー特有の苦さが口に広がり、一気に眠気が覚めていく気がした。


それにしても、

「苦がすぎ…」

スモーカーさんが淹れてきてくれたのはブラックで、普段ミルクや砂糖をいれる自分にとっては、思わ口に出してしまうほど苦かった。

それをからかうようにスモーカーさんは言った。


「お子ちゃまにはまだ早かったか?」

「子供って…もう私20歳ですよ?」

「俺から見たら、まだガキだろ」

「むっ……」


たしかスモーカーさん、32歳って言ってたな…

上司の年齢を思い出しながらも、一回りも違うことを再認識する。


「そうやってムキになるところも、ガキだな」


スモーカーさんは残っていたコーヒーを一気に流し込むと、アンナの頭をぽんと叩き自分の机に戻って、また資料に目を通し始めた。


「……ムキになってないもん」


上司の耳には届かないような小さな声で言い返した後、アンナもコーヒーを飲み干して、仕事を終わらせるべく机に戻って、資料の山に向かい直った。

/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp