第2章 初めての異動
「はァ…ったくあんなのが1900万ベリーだと?肩慣らしにもならねェな」
「ははは……」
海賊たちをぶじに捕まえ、支部に戻るまでの帰り道。
私はスモーカーさんと2人で歩いていた。
久しぶりの仕事だったのに、思っていたよりも手ごたえがない海賊だったので、発散しきれずイラついているご様子のスモーカーさん。
葉巻の数が2本から3本に増えているあたり、よほどだなとアンナは苦笑をもらす。
「それより、アンナ」
「はっ、はい!何でしょう?」
「お前、たしぎから剣の使い方習い始めてどのくらいだ?」
急に質問してくるなんて、ほんと今日のスモーカーさんは珍しいこと続きだな……
「たぶん、3か月ぐらいだと思います」
「そうか……」
もしかして3か月も経つのにまだ木刀だってこと気になってるのかな!?
でもそれは師匠が許してくれないんですよ……
スモーカーさんからの返答にひやひやしながら、次の言葉を待っていると、聞こえてきたのは意外な言葉だった。
「よくこんな短い期間で剣を使った動きを身につけたな。さすが期待の新人と言われるだけの事ある」
「へっ…?」
「おかげで前よりも仕事が捗る。この調子で精進しろよ」
すると呆けているアンナの頭にごつごつとした手をぽんと乗せられる。
(えっ……!)
突然の事に反応できないでいると、スモーカーさんが顔を覗き込むようにして、私の顔をじいっと見つめる。
「…なんだ間抜けなツラして。そんなに俺が褒めるのが珍しいか?」
「いっいや、それもありますけど……」
アンナは言葉を続けようとするが上手くまとめられず、ただ顔に熱が集まっていくだけで。
その反応をみてスモーカーさんも何かに気づいたらしく、私の頭にのせていた手をどけると、ばつが悪そうに頭をかいた。
「わりィ……ガキ扱いしたわけじゃねェんだが……
つい、な」
それだけ言うと、「先に戻ってる」と言ってアンナを置いて、去って行ってしまった。