第2章 初めての異動
「いがいと几帳面なんですね」
「……わりィか」
少しからかうように笑うと、それに頬をほんのり赤く染めるスモーカーさん。
その反応に思わず、
「えっっ」
と驚きの声がでてしまった。
厳しくて、部下の前ではだらしない姿なんて一切見せない。
それが我が上司のスモーカーさんだ。
そんな彼の意外な一面を見てしまい、普段とのギャップも相まって、なんだかこちらまで恥ずかしくなってきてしまい、アンナもつられて顔に熱が集まり始める。
その様子をみたスモーカーさんが、ちっ…と舌打ちをしながら、ばつが悪そうな顔でこちらを見る。
「ったく…。なんでお前まで照れてんだ」
「だ、だってスモーカーさんが……」
(そんな顔をすると思ってなかったんですよ!)
そう言おうとした矢先、緊急連絡が支部局内の放送が流れる。
「連絡!ローグタウン西の方向に、賞金首1900万ベリーの海賊、バルテロの海賊船を発見。直ちに海軍全兵は向かいなさい。繰り返す……」
放送がぷつりと止んだ瞬間、スモーカーさんは立ち上がり、ふうーと口から大量の白煙を吐き出すと、私の方を一瞥し、顎をくいっと動かす。
「久しぶりだな……おい、行くぞ」
「はっ、はい!」
上司からの声に力強く返事をした後、アンナはたしぎに言われてから常に持ち続けている腰に下げた木刀を強く握りしめた。
ちなみになぜ真剣ではなく木刀なのかというと
「むやみやたらに剣を振りかざすのは剣士ではありません!私が許可するまでは木刀で十分です!!」
というスパルタ師匠からのお言葉があるためである。