第2章 初めての異動
私がローグタウンにやってきて、早くも3ケ月が経とうとしていた。
今日も早朝からたしぎと剣の修行をして、支部のみんなと朝ごはんを食べて、今は支部内の庭で洗濯物を乾かしている最中だ。
空を仰げば、雲一つない澄み切った青空が広がっている。
ここ最近は海賊たちの目撃情報もないので、比較的ゆっくりとした日々を送っていた。
平和なのはいいことだけど、正直体が鈍るな…なんて思いながら、洗った隊服のしわを伸ばしながら干していると、普段ここにはこない人が視界の中に入った。
アンナは手を大きく振って声をかけた。
「スモーカーさん!」
その声で気づいたのか、スモーカーさんが自分の方に近付いてきてくれる。
きちんとした隊服があるにも関わらず、この人はいつも上半身には服を着ない人なので、最初こそ目の行き場に困ったが、いまでは慣れてしまい普通に接するようになっていた。
スモーカーさんは大きなあくびをしながら、草むらの上にどすんと音を立て座りこんだ。
「……いつもお前がやってんのか?」
「まあ、基本は。男性陣に任せるとテキトーに干すので結局2度手間になるんですよ…」
「そんなん気にするのは女だけだろうからなァ、」
「そういってスモーカーさんだってしわがある服より、ないほうが好きでしょ?」
アンナの言葉に一瞬目を開くスモーカー。
「……気づいていたのか」
「ふふふっ。スモーカーさんの洋服ダンス見れば分かりますよ」
干した後きれいに畳んでから各自の部屋に服を持っていくのも仕事なのだが、ある日スモーカーさんの服を置きに行ったときに洋服ダンスの中を見てしまい、その時しわがある隊服をよけているのを発見したのだ。
そこから導き出される答えは一つしかなかった。