第1章 プロローグ
「なァエース、本当に姉ちゃんと仲直りしないまま旅立つのか?」
今日は俺の17歳の誕生日であり、旅立ちの日。
そのため先ほどからその準備をしているのだが、数日前からずっと同じ質問をしてくるルフィ。
無視していると俺の顔を覗き込んできたが、うざったいのでその顔をぐいっと寄せて、はぁとため息を漏らした。
「だからなんでもねェんだって言ってんだろ!」
「だってエースも姉ちゃんもずっと話してないだろ?
今日仲直りしなかったらいつすんだよ!」
こういうことに鈍感なはずのルフィに核心を掴まれて、内心ドキリとしてしまう。
というか弟に心配されるなんて、兄貴としてどうなんだ……と頭を抱えるエース。
「一生話せないままかもな……」
と本音をこぼしたら、それをルフィが拾ってしまい、
「そんなのダメだ!よし、俺が姉ちゃん呼んでくるからちゃんと仲直りしろよ?」
「はァ!?おい、ちょっとまて!」
という俺の制止の声もあいつには届かず、本当にアンナを呼びに山賊たちの家の方へ向っていってしまった。
とうことは、アンナと話さなければならないのも時間の問題なわけで、急にあの返事をもらうのかと思うと、今度は緊張で腹が痛くなってきそうだ。
「いい返事をもらえる気がしねェな…」
エースは気を紛らわせるかのように、荷造りの手を再開させた。