第1章 プロローグ
名案だろ?と少し頬を赤らめながら、へへへと笑うエース。
私はまだ目の前で起こっていることが信じられなくて、エースをただ茫然と見つめることしかできなかった。
それを見て彼が不安そうに眉をひそめて私の顔を覗き込む。
「……アンナは俺の事、どう思ってんだよ」
そのエースの言葉に、思わず自分も同じ気持ちだと言いそうになったアンナの脳裏にじいちゃんの言葉が蘇った。
『………お前らは血のつながった姉弟じゃ』
ああ、そうだった……
アンナは一瞬で冷静に戻り、自分からの返答を待つエースを見つめ直した。
エースは私たちが本当の姉弟だと知らない
彼は私が血のつながった姉だと知っても、同じ気持ちでいてくれるだろうか?
私達のこの想いは決して周りから祝福されるものではない。
私だけならいい
だけどエースまで茨の道に進むことはないのだ。
彼にはまだ普通の女の子と恋愛する『自由』がある
これから海賊になるのだとしたら、なおさら。
私が姉として出来る彼への対応は一つしかなかった。
ふうと深呼吸をしてから、ゆっくり口を開いた。