第1章 プロローグ
「あの、さ、俺の話したいことなんだけど!」
少し口ごもりながらこちらの方に体を向けてくれて話そうとするエースに、私もちゃんと聞かなきゃなと思い彼のほうへ体を向けた。
「…昔、ケッコンの約束したの覚えてるか?」
そのエースの問いにドキッとするアンナ。
戸惑いながらもゆっくり頷いた。
「あの時はお前に言われちまったけど…今度はオレから言わせてほしい。
俺ずっと前から……アンナのこと好きだ。
だから一緒に海に出ないか?」
「え……?」
アンナは突然告げられた想いに驚きが隠せず、言葉が出なかった。
エースが私の事好き?
本当にそんな夢みたいなことがあっていいのだろうかと、アンナは自分のほっぺを指で強くつまむが、ひりひりとした痛みが残っただけだった。
急にほっぺをつまむ私を見て、エースが
「何してんだよ、ばっかだなァ」
といい、つねったところを撫ででくれる。
それでさらに私の心臓は鼓動が鳴りやまなくなってしまい、どんどん顔に熱が集まっていくのを感じた。
「……これ、お前に似合うかなって思って買ってきた」
エースはズボンから小さな箱を取り出し、その箱を開けるとそこにはキラリと煌めく宝石が付いた指輪。
その指輪を手に取ったエースは、私の左手の薬指に通した。
「ホントは俺が帰ってくるのを待ってろ!ってかっこよく言いてェんだけど、その間にお前がほかの男に盗られるのはぜってェ嫌だし……。
だったら一緒に海に出て俺のそばにいて欲しいなって思ってさ」