第26章 ◇ 助けたい君 ◇ 夢主視点 ◇

私はうるさいおじさんをほっといて女の子の前に腰を落とした






女の子は私から目を離さなかった





さっきまでとは何か違う目




この子の中で何が変わった気がした









「ねぇ、お嬢さん⋯」

ウタ）「何？まだ私を止めようとするの？」

「違う⋯違わない、けど⋯ちょっと違う、かな」

ウタ）「？」

「お嬢さん⋯あなたはさっき『大切なのは体より心』⋯そう言ったけど⋯心だけでも人は苦しむし悲しむよ」

ウタ）「私の作る新時代はそんな事起こらないよ」

「心だけが幸せならそれでいいの？」

ウタ）「何を言ってるの？体があったって病気や怪我で痛い思いや辛い思いをするだけでしょ？」

「あなたはそうだったの？」

ウタ）「ん？⋯言ってる意味が分からないんだけど？」

「体があったって喜びを感じないわけじゃない。幸せを感じないわけじゃない」

ウタ）「⋯⋯」

「確かに病気や怪我はない方がいい⋯差別や暴力なんて以ての外だ」

ウタ）「⋯なら⋯」

「でもね、人が人である限り⋯人に感情がある限り、心だけでも人は悲しむし苦しむ⋯心だけだから差別や暴力は出来るんだよ⋯私はそう思う」









人に感情がある限り








人は人を傷付ける
















人は愚かな生き物だから