* 忍のハート ✿ 番外編 *【ONE PIECE】
第26章 ◇ 助けたい君 ◇ 夢主視点 ◇
私は目を見開いた
この気配は⋯あのお城にあった禍々しい気配
女の子の足元から薄く出てきた禍々しい気配は
今にも女の子を飲み込もうとしている
「ねぇ、お嬢さん⋯あなたは何を持ってるの?」
ウタ)「っ、」
「⋯それ⋯⋯なるほど⋯探しても見つけらないはずだね⋯」
思わずため息が漏れる
私は雨で濡れて落ちてきた前髪をかきあげた
「それ⋯古代兵器でしょ?確か《トットムジカ》だったね⋯⋯あなた⋯もしかして⋯」
思わず低くなる声
女の子は私の言葉を最後まで聞かず走って行ってしまった
私は追いかけられずその場を立ち尽くしてしまった
失敗した
もっと慎重にならないといけなかったのに
私はしゃがみこんで頭を掻いた
走って行った女の子は苦しそうに泣きながら
顔を歪めて行った
「⋯女の子にあんな顔させるなんて⋯」
私はゆっくり息を吐き⋯また頬を叩いた
「⋯よし⋯」
私は女の子を追いかけた
✻✻✻
~ウタ視点~
私は逃げてしまった
私を助けたいって言ってくれた女の子から
逃げてしまった
あの子の顔が⋯私の決心を揺るがしそうになった
私はライブ会場前で座り込んでいた
ゆっくり深呼吸しながら
膝を抱えて座り込んでいた
落ち着け
もう⋯戻れないんだよ
私が新時代を作らなきゃ
皆が望む世界を⋯
ありがとう
助けたいって言ってくれて
でも私は⋯もう逃げない
私はゆっくり立ち上がった
雨はまだ止みそうにない
横に置いていたカゴを手に取って
私は歩き出した
ライブ会場にいっぱい人が来ている
邪魔はさせない
✻✻✻