第26章 ◇ 助けたい君 ◇ 夢主視点 ◇

雨だからなのか




女の子の目は薄く涙が浮かんでいた







「そんな顔するなら余計に攫いたくなる」

ウタ）「⋯そっ、そんな事したら⋯世界中の人達に怒られるよ！」

「だろうね」

ウタ）「みんなに嫌われるよ！」

「いいよ。別に」


ウタ）「み、みんなに⋯憎まれる⋯よ⋯」

「上等♡」

ウタ）「⋯おかしな⋯人⋯」

「ははっ、よく言われる」







なるべく怖がらせないように





このまま逃げられないように






女の子は再び顔を下げ目元に影が出来た















口元は少し食いしばるように震えている









「ねぇ、お嬢さん⋯あなたは何を思い詰めてるの？」

ウタ）「⋯⋯」

「私にはね、あなたの歌が悲しい歌に聞こえるの」

ウタ）「⋯かな⋯しい？」

「うん⋯あなたに会う前にライブ会場を見て来たけど⋯みんなが寝てるのはあなたがやったの？」

ウタ）「そうだよ⋯これからはみんなで一緒に⋯笑って遊んで⋯楽しく暮らすの」

「⋯⋯」

ウタ）「みんな、それを望んでる⋯私がやらなきゃいけないの⋯私ならそれを叶えれる力がある⋯だからね⋯」

「そっか⋯よく頑張ったね」

ウタ）「⋯っ、」