第1章 分岐点 ※
櫻乃side
「…結霞は、それしか持っていないのかい?」
それとは木刀のこと。
『…だけどなにか?』
麗羅はきょとんとする。そして高揚する。
「あははっ…結霞は知らないのかい?鬼を絶命させる方法は日光に当てることと、もう一つは首を斬ること…。
それは日輪刀という刀でしか出来ぬ。その時点でアンタは将棋で言う、詰みというやつだな」
『…麗羅、アンタは口を慎むべきですよ』
「あら、やっと名前で呼んでくれた…。…で、どういう意味かしら?」
麗羅はすっと目を細めて警戒をする。
『自分の情報をたくさん話してくれてありがとうね。お陰で手間が省けるわ』
私は駆けだし、麗羅の首を狙う。ぎりぎり避けられ、麗羅の首にかすり傷がつき鮮血が飛び散る。
それも麗羅がスッと指で撫でると傷はなくなっていた。
恐ろしいほどの再生速度。
「ふっ…つくづく面白いな結霞…けれど、所詮人間、鬼には敵わない。…ほら、もう傷が塞がった」
麗羅は指を鳴らす。
「血鬼術 心操鳴指___」
すると体が横に倒れた。