第1章 分岐点 ※
櫻乃side
『なっ…』
下手に身体を動かせない。動かしてはいけないと、本能が言っている。
でも、倒れたままでは駄目だ。起き上がらなくては。
「言ったろう?私の血鬼術は神経を狂わせると。オマエが足を動かそうとすれば頭が、右腕を動かそうとすれば左足が、
左腕を動かそうとすれば右足が動く。さぁ…どうだ?私は抵抗などしない。オマエはどう私を倒す?」
麗羅は挑発的な笑みを浮かべる。
『…その余裕、いつまで続くのやら』
私は微笑み返す。多少は動きがぎこちないが、立ち上がる。
「なっ…馬鹿な!!神経が狂っているはず。普通ならそのようにすぐに動かせまい!!なんでっ…」
『答えは簡単…私は自分を騙しただけ…では、さようなら』
『__櫻の呼吸 壱ノ型 櫻の五月雨』
油断をしていた麗羅は、判断が少し遅れた。だけれどその少しが命取りになる。